帯状疱疹とは
子供の時にかかる水ぼうそうと同じウイルスですが、大人になってまた悪さを起こしてくると帯状疱疹という病名になります。
一度水ぼうそうにかかったら、原因ウイルスは体内から完全に消失することはなく、神経節に潜む性質があります。
そのウイルスが疲れやストレスによって免疫が著しく下がることをきっかけに、神経節から飛び出して皮膚上で再感染します(再帰感染)。
帯状疱疹という病名の通り、皮膚症状は1つの神経に沿って帯状に炎症が広がることが特徴で、全身のどこにでも生じる可能性があり、左右のどちらか一方に出現します。
水ぼうそうにかかった経験がないと思っていても、非常に軽度の感染で気が付かなかった可能性があります。
症状の経過
初期症状
帯状疱疹の初期症状は、体の左右どちらか一方に生じる皮膚の水ぶくれや赤み、かゆみ、チクチクとした痛みです。
神経が炎症することによって痛みが引き起こされますが、経過は様々で、皮膚症状と同時期に痛みが始まる場合や、やや遅れて痛みがやってくる場合も見受けられます。
痛みの感じ方も様々で、ピリピリ、チクチク、ジンジンという痛みを訴えることが一般的です。
また、発熱やリンパ節腫脹も併発する方もいらっしゃいます。
発疹
病変部位には赤いブツブツが現れます。
胸、背中、腹など体幹部に現れることが多いですが、お尻や顔面にも生じることもあります。
水ぶくれ
いったん生じた皮膚の症状は、水ぶくれに変わっていきます。
この水ぶくれが大小・新旧様々に入り乱れ、帯状に集まる様子から「帯状疱疹」という病名が付けられています。
水ぶくれは透明なものもありますが、血や膿が混ざった水ぶくれもあります。
およそ1週間程度で消失し、かさぶたを経て正常化していきますが、黒ずみが残ったり、傷跡になったりする可能性もあります。
帯状疱疹はうつる?発症する原因は?
帯状疱疹は、子供の頃にかかった水ぼうそうのウイルスが再度悪さを起こしてくる病気です。すでにウイルスに感染している人が大多数のため、人にうつる病気ではありません。
しかし、水ぼうそうになったことがない子供に接触すると水ぼうそうとして感染してしまう可能性があります。
疲れやストレスによって免疫が著しく下がることをきっかけに発症することが多いです。
帯状疱疹になった時してはいけないこと
1免疫低下をもたらす行動
帯状疱疹は、免疫が低下することで発症するため、下記のような症状を悪化させる可能性がある行動は控えましょう。
- 睡眠不足
- 過度のストレス など
2患部を冷却する
ひどいかゆみをまぎらわすために、患部を冷やしたくなることもあるかもしれません。
ですが、冷やすと痛みを鮮明に感じやすくなり、血行不良に繋がります。
冷やすのではなく、入浴や温めたタオルなどで患部を温めるようにしましょう。
3水ぶくれを潰す
水ぶくれはしっかりと洗ってください。皮膚が破けてしまっているので細菌に感染しやすい状況になっています。しみたり、痛いかもしれませんがきれいに洗っていだだくことが重要です。その後、塗り薬を塗ってガーゼで覆いましょう。
また、水ぼうそうの既往がない子供にはうつる可能性もあるので、できる限り接触しないように注意しましょう。
治療方法
帯状疱疹は、水痘・帯状疱疹ウイルスというヘルペスウイルスの1種によって引き起こされます。
そのため、治療の基本は抗ウイルス薬の内服治療になります。
抗ウイルス薬
帯状疱疹ウイルスの増殖を抑える薬です。
飲み薬、塗り薬、注射など様々な形がありますが、一般的に使われるのは経口抗ウイルス薬です。
主な抗ウイルス薬として、次のようなものがあります。
主な抗ウイルス薬
- ゾビラックス
- バルトレックス
- ファムビル
- アメナリーフ
抗ウイルス薬は飲む量、回数、期間が個別に設定されているので、必ず医師の指示通り服用するようにしてください。多くの場合効果が現れるまで2〜3日かかることがあります。なので、症状が治ったとしても、決して自己判断で中止しないようにしてください。
外用薬
発疹部位の炎症を抑える目的で、外用薬が使われることがあります。
炎症を抑える外用薬や、外用ステロイド、ヘパリンなどの保湿剤を使って、皮膚の保護や細菌による二次感染を防ぐ目的で使用します。
鎮痛薬
帯状疱疹の痛みを放置していると、発疹が治った後もピリピリとした痛みだけが続く場合があります。
痛みを残さないように、NSAIDs(非ステロイド消炎鎮痛薬)や末梢神経障害治療薬などを使用して治療します。
神経ブロック
ピリピリした痛みが強い場合には、神経ブロックという治療が行われる場合があります。
これは神経のまわりに直接、局所麻酔を注射する治療です。
症状が長期間持続した場合には専門的な技術が必要なため、主に麻酔科やペインクリニックをご紹介させていただきます。
ワクチンで予防しましょう
帯状疱疹の予防の基本は、規則正しい生活で免疫を低下させないことと、ワクチンで予防することです。
また、一度帯状疱疹にかかったことがある方でも、再びかかる可能性はゼロではありません。
前回発症から5年経過していれば抗体が下がっている可能性がありますので、ワクチン接種をしてしっかりと予防するようにしましょう。
当院では、帯状疱疹ワクチンでの予防接種を実施しております。
50歳以上の男女を対象に自費診療での予防接種が可能です。
帯状疱疹のワクチンの種類
乾燥弱毒生水痘ワクチン(ビケン)
- 皮下注射(1回)
- 発症予防効果は50%〜60%